なぜネットの意見は偏るのか?その背景と原因を探る

考え・意見

最近、暇があるとGeminiやChat GPTといったAIを使って色々と質問を投げかけて遊んでいます。このブログの添削などもAIに手伝ってもらってます。

でも、AIも稀にトンチンカンな答えを出してくることがあります。

例えば僕は名古屋出身ですが、AIに対して「名古屋弁を教えて」と聞いてみると、まったく見たことも聞いたこともない表現が出てきます。

「だがや」と「だや」は、どちらも名古屋弁で使われる表現ですが、微妙な違いがあります。「だがや」は、「~ですよ」という意味の丁寧な表現です。目上の人や、初対面の人に対して使うことが多いです。

gemini

これを見た時はちょっと笑ってしまいました。

「~だがや」という表現は名古屋弁にありますが、まったく丁寧な言い方ではありません。それに、「~だや」という言い方は生まれてこの方聞いたことがありません。

僕の住んでいた地域だけなかったのでしょうか?でも僕がネット上で他のサイトを検索してもこのような内容は出てきませんでしたし、これはAIが間違っている可能性が高いです。

AIの過ちを指摘すると「世代や地域によって差異がある」と返ってきました。そう言われてしまうと、僕も名古屋の隅々まで調査したことはありませんし、確実なことは言えませんがどうも納得できません。

それに、もし名古屋弁のことをまったく知らない人であればこの回答を鵜呑みにしてしまうでしょう。

これは大きな問題だと思います。AIに限らず、ネット上の情報はどこまで信じて良いのか判断が難しく感じます。

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親がネトウヨ化!?

昨年、3年ぶりくらいに帰郷しました。コロナの流行は一旦落ち着いてはいたものの、僕の母親が免疫系の病気を持っているため、万が一のことを考えると慎重になっていました。

両親とも還暦を迎え老後生活を送っているのですが、なんとyoutubeにハマっていました。もともとタブレットやスマホは持っていたのですが、これまでは思い出の写真や動画の管理くらいにしか使っていなかったのでyoutubeを見るようになったことには驚きました。

しかも、ちょっと胡散臭い動画を見ているようでした。

母は昔からオカルトや「水からの伝言」のような疑似科学などが好きでした。その延長線上なのか、youtubeでもそういった類の動画を好んでいるようです。

僕の親だけでなく、これまでインターネットにあまり触れてこなかった世代の人たちがyoutubeやネット掲示板などにハマっているそうです。

ネット右翼(ネットうよく)とは、ネット上で右翼的な言動を展開する人々のことである[1]。攻撃的なコメントを展開する人々全般を含むことが多い[2]。

「ネット右翼」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2024年7月1日 (月) 15:57 UTC、URL: https://ja.wikipedia.org/wiki/ネット右翼

そして、その人たちの一部はネトウヨ化しているそうです。ヤフコメやSNSなどでかなり偏った思想や過激な発言が飛び交っています。

これは高齢者に限らず、全年代に波及しているように思います。リアルではまっとうな大人が、一度ネット世界に飛び込むと豹変してまるで別の人格かのように振る舞います。

なぜネット上で人々は過激化していくのでしょうか。

顔の見えないコミュニケーション

ネット上では匿名で、過激な発言をしても罰せられることがないのが一番の原因でしょう。スマホやパソコンに向かって文字を打っているだけなので、その向こう側に本物の人間がいるという意識を持ちにくいからです。

第二次世界大戦では、目に見える距離に敵がいたため、銃の引き金をひけなかったり明後日の方向に撃つ兵士がいたそうです。いくら敵とはいえ人間ですし、職業軍人ばかりでなく戦争前は一般人だった兵士も少なくなかったからです。

しかし現代戦では武器の射程距離が延びたことで、標的の顔を実際に見ることが少なくなりこういう問題も減っているようです。今では無人飛行機をパイロットが基地で操作して飛ばすことも可能になっているそうです。

ネット上も同様で、人の顔が実際に見えない事で、誹謗中傷をしても相手を傷つけてしまっている実感が無いことが過激化の原因だと考えられます。そこにいるのはゲームのNPCでしかないような錯覚に陥ってしまうのでしょう。

また同時に、インターネット上では情報の受け取り手も発信者の素性が見えないという特徴があります。

テレビであれば有識者の顔が見えますし、〇〇大学教授などの肩書や経歴も一緒に紹介されるので信用性は高まります。しかし、ネット上の情報の発信者はほとんど匿名です。

どこの誰が書いたのかわからない、信用性の低い情報で溢れ返っているのがインターネットの現実なのです。

youtube配信やサイト作成、ブログなどを書いている人はそれだけで特異な人だと僕は思います。

あなたは自分のサイトを持っていますか?youtubeなどで動画投稿をしていますか?自分で継続的に絵を描いたり作品を作ってSNSに載せたりしているでしょうか。

ほとんどの人は情報を受け取る側であり、自分で発信しているという人は少数派だと思います。つまり、他の人がしないちょっと変わった人たちなんです(こんなサイトを作っている僕もその中のひとりですね……)。

彼らは、自ら発信したいという強い思いを持っており、おのずとその思想は偏ります。

ネット黎明期では、リアルでは共有する相手のいない趣味を持ったいわゆるオタクたちの拠り所という側面があったと思います。ネット小説やアニメ、オカルト、軍事オタク(ミリオタ)などが個人サイトを作り掲示板を設置してコミュニケーションを取っていました。

そして、ほとんどのサイトや動画は素人が作っていますから、それらの情報の信憑性はまったく保証されていません。

タダより高いものは無い!?

僕は昔、住宅ローンの情報発信をするアフィリエイトサイトを運営していました。サイトに載せる情報は、本を買ったり似たようなサイトから自分で勉強して書いていました。

嘘を書いているつもりはありませんでしたが、何かしらの資格をもっているわけでも無いド素人です。自分で住宅ローンを組んだこともありませんでしたし、足りない部分は想像で補なっておりその内容がどこまで合っているのか確証はありませんでした。

グーグルもサイト内容が間違っていたり嘘が混ざっていても検知できません。冒頭でも紹介したとおり、今の最新のAIでも誤った情報を認識できないのです。ましてやyoutubeのような映像や音声情報の中身は絶対に理解していませんから、無法地帯と言っても過言ではないでしょう。

グーグル検索の上位に来るサイトというのは、検索キーワードと関連する内容を多く含んでいるものだったり、来場者の反応(滞在時間や閲覧数など)を測っているだけで、コンテンツ内容そのものを理解しているわけではありません。

僕はアフィリエイト会社(ASP)にも勤めていたことがあります。そこは広告主とサイトを運営するアフィリエイターを仲介する会社だったので、色々なサイトの運用情報にふれる機会がありました。

やはり基本的には報酬の高い案件を大々的に広告するというサイトが大半でしたね。〇〇比較ランキングの順位は、ほとんどの場合は広告報酬の高い順に並んでいます。

僕がやっていた住宅ローンの案件では、1件の申し込みがあると1万円~1.5万円くらいが広告報酬としてサイト運営者に支払われていました。獲得難易度の低いスマホのゲームアプリなどは1ダウンロードあたり300円~500円あたりだったと思います。

サイトを運営していると、申し込み1件あたりの閲覧者数(PV)を追いかけるようになります。例えば、サイトの1日あたりの平均来場者が1万人で申し込みが10件あるとすると、1000PVで1件獲得できると期待できます。

サイト運営者はPV数を増やすことで収入を上げることができますから、あらゆる手段を使って注目を集めるように努めます。キャッチーなタイトルを付けたり、専門的なコンテンツを作ることで集客を増やします。

注目を集めるために過激な発言をするyoutuberや、不都合な情報を意図的に隠すようなサイトも少なくありません。

こんな混沌としたインターネットの情報を鵜呑みにしてしまうのは非常に危険ですが、ほとんどの人はその実態に気づいていないように思います。

ネット情報は無料で手に入り便利なものですが、気づかないうちに誘導されもっと大きな損をしてしまっているかもしれません。

情報を精査する知恵が必要

これは、私達の習慣が原因かもしれません。

僕たちはこどものころから、学校の先生や教科書で習ったことをそのまま知識として蓄えてきました。大人になってからも新聞やテレビ、本などで勉強しますが、これらの情報は専門家によって精査されており、正確性が非常に高いです。

このため、ほとんどの人は情報に対して疑いを持つという習慣がありません。

ネット上の情報に対しても、学校教育やテレビと同じように受け取ってしまい、まったく疑うことなく信じてしまっている人が多いのではないでしょうか。

インターネット上では、新聞やテレビといった従来のメディアは信じられないという風潮も一部であります。これは実際のところ、一理あるでしょう。メディアといっても民間企業ですから、自分が不利になる情報は出しません。

ドラマの殺人方法で車を使うと自動車会社からクレームがきたり、毒薬を食べ物に入れると食品メーカーのスポンサーがつかなくなってしまうなんてことがあるそうです。色々な大人の事情を回避すると、何もない崖から突き落とすみたいな展開になりがちなんだそうです。

とはいえ、テレビや新聞が信じられないからと言って、インターネット上の情報が正しいとするのはまったく理論的じゃないと思うんですが。

インターネットは匿名なので内部告発などはしやすいですし、従来の既得権益とは無縁なので忖度が少ないというメリットはあります。しかし、インターネットは偏りが加速しやすい特性を持っています。

テレビや新聞は完全に受け身のメディアであり、自分の興味のない情報も入ってきます。一方でインターネットは、自分で検索した情報にしか触れる機会がありません。

また、youtubeやヤフーニュースなどのプラットフォームでは、ユーザーの検索履歴を分析して趣向に合った情報を提示するレコメンド機能がついています。これは非常に便利なシステムですが、同じような情報ばかりが集まってしまうので思想の偏りが加速する原因にもなります。

ともすれば、自分の意見に賛同し強化してくれるような情報を探してしまいがちです。反対意見は耳に痛いですし、自分が間違っていると認めることは難しいからです。

エコーチェンバー現象(エコーチェンバーげんしょう)あるいはエコーチェンバー(英: Echo chamber)とは、自分と似た意見や思想を持った人々の集まる空間(電子掲示板やSNSなど)内でコミュニケーションが繰り返され、自分の意見や思想が肯定されることによって、それらが世の中一般においても正しく、間違いないものであると信じ込んでしまう現象[1][2]。

「エコーチェンバー現象」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2024年6月25日 (火) 11:36  UTC、URL: https://ja.wikipedia.org/wiki/エコーチェンバー現象

これは、エコーチェンバー現象と呼ばれています。

自分の興味のある情報だけにしか接することがなく、また、自分の考えを肯定してくれる情報に囲まれることで思想がどんどん偏っていくのです。

この情報が溢れる社会では、真偽を見極める知識と知恵をつける必要があります。

2024年、日経平均株価がバブル崩壊前の最高値を更新したという歴史的な出来事がありました。しかし、これは主に円安が原因であり、ドル建ての日経平均ではまだ2021年の水準が上回っていました。また、この株価上昇は大手企業に偏っており、中小企業の株価はコロナ禍の不況時と同じ水準に低迷していました。この現象は世界的な物価上昇の影響を中小企業が受けているためと考えられます。

一方で失業率は非常に低く、統計上は好景気を示しています。このような状況の矛盾をどう解釈すれば良いのでしょうか?

現代の社会は複雑であり、ひとつの明確な答えを出すのは難しいです。

自分自身の思想を含めてあらゆる情報は偏ってしまうものだと認めることが重要だと思います。そして、複数の視点から物事を見つめ判断することが大切です。

まったく完璧な答えを導き出すのは不可能かもしれません。しかし、例えば7割がた正しければそれを当面の答えとし、状況の変化に応じて更新修整していくことが必要です。

この点では、AIの登場によって一歩前進したように思います。AIは複数の側面からの意見を提示してくれます。もちろんAIも完璧ではありませんが、これからの技術発展には欠かせないものであり、僕はかなり期待しています。

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