僕の考える最強のSEO対策

考え・意見

僕が新卒で入社した会社は、フィリエイト・サービス・プロバイダーでした。略してASPとも呼ばれます。

ASPは、広告主から依頼を受けて、ブログやSNS、youtubeなどの広告媒体を運営するアフィリエイターとの仲介を行う会社です。

アフィリエイトサイトからの申込みがあればそれを計測し、成果に合わせて報酬を支払います。ゲームアプリがダウンロードされると1件ごとに300円、クレジットカードの申し込みなら1万円前後といった感じでした。

実際には、広告主からはクレジットカードの成果1件あたり1万5000円もらっており、アフィリエイターに払う1万円を差し引いた5000円がASPの儲けとなります。弱小アフィリエイターには3000円しか払わずに1万2000円を中抜きするなんてこともありましたけどね。

そして、僕の担当は自社媒体の作成・運営でした。

アフィリエイトに関する会社ですから、もちろん自社でも広告媒体を運営しており、報酬はまるごと貰えるので効率も良いというわけです。

サイトのデザインからコーディング、コンテンツの作成、SEO対策、リスティング広告の掲載・運用など一連の業務を行っていました。2年目からは先輩から仕事をすべて引き継いで僕1人で管理していました。

ある時、仕事に関するレポートの提出が全社員に課せられました。それぞれの専門知識やノウハウを蓄積し共有できるようにという社長直々の命令です。しかも、営業部長がすべて読んで採点するというのですから大変なことになりました(社員100人分のレポートをチェックする営業部長が一番しんどかったでしょう)。

そこで、僕は自分の考える最高のSEO対策をレポートして提出しました。

僕はというと、自社媒体において流入数の非常に多いビッグキーワードの1位表示をいくつも獲得しており実績も十分あったので、自信満々にレポートを書き上げました。もちろん、それにともない売上も上昇していました。

しかし、僕のレポートはそれほど高い評価をしてもらえませんでした。65点とかだったと思います。

一方で、後輩の書いたくだらないレポートが絶賛されており、僕は怒りと嫉妬を感じていました。まったく器が小さかったなと自分自身でも思いますが、自分の思いをどうしても抑えられませんでした。

ちなみに後輩のレポートは結構しっかりしたもので、大手企業のサイトの分析と評価がまとめられていました。僕は専門卒で知識が無かったこともあり、論文はこう書くのかと関心したのを覚えています。

そもそも、僕自身の会社からの評価はかなり悪かったと思います。1年目の最後に上司から通知表のようなものを渡されましたが、ほとんどがxや△で要改善ばかりでした。

僕はひとりで自社媒体を管理していたこともあり、2年目からは明確に上司が決まっていませんでした。強いて言えば、会社No.2の役員の方の直下です。

レポートの評価をした営業部長とはそれほど関係性があったわけでもなく、相談できる人もおらずに悶々とする気持ちが残りました。今考えると若かったなと思いますが、一方でそれほど熱心に仕事に向き合っていたとも言えます。

結局、僕は2年目が終わる前に仕事を辞めることになりました。そして、自分でサイトを作って運営するようになります(辞める前から作り始めてはいました)。

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コンテンツイズキング Content is King

営業部長にまったく評価されなかった、僕の考える最強のSEO対策をあらためてここで披露したいと思います。もちろん、今でも通用する内容にアップデートしています。

当時2015年はアフィリエイトが一般的にも知られるようになり、新規参入者もとても多い状況でした。そしてアフィリエイトサイトが乱立する中で、グーグルのアップデートも頻繁に行われ、それ以前のSEO対策がまったく使えなくなるということも起こっていました。

例えば、500文字程度の記事を100ページくらい作ったサイトをいくつも乱立し、メインサイトにリンクを貼ることでSEO順位を上げるなんて方法がそれまでは一般的でした。キーワードは最低15個は入れるんだぞ、なんて先輩から教えられたものです。

でも、こんな小手先のSEO対策は今ではまったく通用しなくなりました。

SEO対策に必要なことは、ユーザーの満足度がすべてだと僕は思っています。

ユーザーが途中で離脱することなくしっかりと最初から最後まで記事を読み、サイト内の色々なコンテンツを巡回してくれるのが理想です。そして、そのユーザーが一度限りではなく、定期的に訪れてくれてサイトのファンになってくれたら最高です。

コンテンツイズキングなんて言葉もSEO業界ではよく言われますが、良質なコンテンツを地道に作り続けるのが最大で唯一のSEO対策です。

文字数がいくらだとか、キーワードの数がどうのというのはまったく関係ありません。なんなら、グーグルが勝手に記事内容を読み取ってタイトルやディスクリプションを変更してしまうこともあります。

じゃあどんなコンテンツを作ったら良いのか?というのが問題になります。

残念ながら、これといった正解はありません。

僕のレポートが不評だった原因のひとつがこれだったのかと思っています。ユーザーの行動を分析することでサイトを調整したり記事をリライトするといった、手探りで進むしか無いというSEOの過酷な現実は理解され難いものです。

特に理数系で明確な答えを求めるタイプの営業部長だったので、明確な結論が出せていないレポートを気に入らなかったのでしょうね。あ、ちなみに部長は非常に優秀で賢い方でした。

それに当時会社では、1文字1円、500文字なら500円といった感じの記事コンテンツを売ったりもしていました。

バックリンクを増やすためのサイトを受注すれば、諸々の費用をまとめると1件あたり20万円くらいで販売していました。バックリンクは通常は複数まとめて依頼を受けるので、5件で100万円といった感じで営業していました。

これがまったく役に立たないというレポートを僕が書いたわけですから、ビジネス的には面白くないでしょう。

しかも、ライターが書く記事というのはほとんどの場合、本や他のサイトを参考にしています。参考元のサイトもさらにどこかのサイトをパクっており……web上の記事はほとんどクローンコピーのようなコンテンツで溢れています。

こんな何番煎じかわからない記事がグーグルに評価されるはずありませんし、場合によってはコピーサイトとみなされてしまうかもしれません。

SEO対策の鍵となるのはオリジナリティです。

世界でどこにもない唯一のコンテンツを作れれば、それは高い評価を受けるはずです。記事であれば、自分の体験談が役に立ちます。オリジナリティはもちろん、生の声を載せることでユーザーの信用度は高まります。

例えばアフィリエイトサイトを作るなら、実際に対象の商品を申し込んで使ってみるのが良いでしょう。ゲームアプリならダウンロードして遊んで見れば良いですし、クレジットカードなら申込みして使ってみましょう。

僕は一度、脱毛エステの説明を聞きに行ったことがあるのですが、そこの先生が右足だけ脱毛しており、自然に伸ばしたままのもじゃもじゃの左足と比較できるようにしていました。かなり毛深い方だったので脱毛効果がより際立って見えました。

百聞は一見にしかずとはよく言ったもので、先生の足がどんな説明よりも説得力がありました。


グーグルは、意外なことに嘘が見抜けません。

僕は昔、ヨーロッパの通貨のユーロについて記事を書いていた際に誤って「イギリスはポンドを廃止してユーロに切り替えた」と載せてしまったことがありました。

これはまったく事実と異なるのですが、特に問題になることもなく検索順位が上がっていき、閲覧数も伸びていきました。

しばらくした後にユーザーからのコメントで間違いを指摘してもらったことで修正することが出来たのですが、それがなければずっと気づかないままになっていたでしょう。もちろん、内容が間違ってばかりのサイトではユーザーが離れてしまうので、結果的にサイトの評価も下がります。

サイトの運営をするということは少なからず社会への影響力を持つわけですし、意図していないとはいえ間違った情報やフェイクニュースを流してしまわないように気をつけないといけませんね。

他にもSEO対策の中で誤解されている手法がありました。

以前は、外部サイトへのリンクにはすべてnofollowをつけるのが常識とされていました。他サイトへのリンクにはnofollowを入れないとページランクが流出してしまうと思われていたのです。

しかし、これは完全に間違いです。

そもそも、リンク先を隠すというのは不自然なことです。それが3つや4つなら問題ありませんが、大量のnofollowをつけてしまえばグーグルの評価はむしろ悪くなるでしょう。窓や扉がすべてシャッターで締め切られてまったく外が見えず、一度入ったら外に出られないような家だったら嫌ですよね。

リンクは相互的な影響があるようです。

その証拠に、グーグル自身が「rel=nofollowによって他サイトの低品質評価が自サイトに反映されるのを回避できる」と言っており、つまり高品質サイトへのリンクならば自サイトの評価が上がるとも受け取れます。

有料リンクには rel=nofollow を使用する。ログインが必要なリンク、信頼できないコンテンツ(ユーザーが送信したコンテンツなど)も同様です。これにより、そのようなサイトへの品質シグナルの転送や、他サイトの低品質評価が自サイトに反映されるのを回避できます。

サイト運用 SEO メンテナンス ガイド | Google 検索セントラル

実は、グーグル自身がSEO対策を公表しています。

Google 公式 SEO スターター ガイド

かなりボリュームがあるのですべて読むのは大変ですが、公式ですからここ以上に参考になる情報はありません。

内容が難しければ「SEOの基礎」のところだけでもカバーしておけば良さそうです。プログラミングに関することは、ほとんどのサイトで正確に作られていないということをグーグル自身も把握しており、それが問題になることは無いとも書かれています。

グーグルばかりに目を向けてSEO対策するよりは、ユーザーが満足するコンテンツを作り込んだ方がよほど効果があるでしょう。

むしろ、小手先の手法で検索順位を上げられるようなSEO対策なんて存在しないと思ったほうが良いんじゃないでしょうか。

こんな結論のレポートを出したら、今度は0点になっちゃうかもしれませんね。


ちなみに、僕の経験からするとSEOで獲得できるユーザーよりもリスティング広告を踏んで来るユーザーの方がコンバージョン率はかなり高いです。

効果のよくわからないSEO対策とか、質の悪い記事を書いてもらうのにお金をかけるくらいなら、ランディングページだけ作り込んでリスティング広告からユーザーを獲得した方がビジネスとしては成功しやすいと思います。

リスティング広告をかけていると、購買意欲の高いユーザーを獲得できるからかSEO効果も結構あるような印象もありました。

なぜかSEOは広告費を削れるものだと思ってる経営者が多いんですが、コンテンツを作り込むコストが非常に高く、さらにヒットするかわからない博打的なものだと僕は思っています。ロングテールキーワードなら高い順位を表示しやすいのですが、ユーザー獲得はそれほど期待できませんしコンバージョンも低い傾向にあります。

また、奇跡的にビッグワードの上位表示ができたとしても、ライバルたちにすぐにコンテンツをパクられ厳しい競争が延々と続きます。一度作った記事やサイトでも定期的にメンテナンスしなければビッグワードの順位は落ちていきます。

SEO対策についてのブログの結論としてはどうかと思いますが、ビジネス経営者の方にはリスティング広告をおすすめします。

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