もし日本が大統領制になったら?政治システムの未来を考える

考え・意見

昔僕がはまっていた「人殺し権」というネット小説があります。

日本が大統領制になったら、という世界観で物語が展開されていきます。

今の日本では、国会議員が投票して総理大臣を決めますが、大統領制では国民が直接選挙に投票することができます。アメリカなんかは、代理人に投票するというちょっと変則的なシステムだったりしますが。

もし、日本が大統領制になったらどんな影響があるのか、考えてみました。

「おめでとうございます!」

日本が大統領制になって一か月。
奇妙な政策が次々と打ち出されるなか

やけに濃いキャラの大統領代理がやってきた

「あなたは【人は死ぬまでに誰か一人だけ殺せ、それが罪にならない】政令の 被験者として選ばれたのです!」

あなたなら誰を殺しますか?

人殺し権 – 小説投稿エプリスタ

この小説は残念ながら途中で更新が途絶えてしまっていますが、めちゃくちゃ面白いので興味のある方は読んでみてください!

スポンサーリンク

日本が大統領制になったらどう変わる?

そもそも、大統領って何だろうというところから調べてみました。

なんとなく、日本でいうと総理大臣のような人だ、という認識も多いと思います。それでも大きく間違ってはいないのですが、せっかくなのでこの機会にもう少し理解を深めたいと思います。

大統領は、共和制国家における元首の通称の一つである。

「大統領」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2024年7月1日 (月) 15:57 UTC、URL: https://ja.wikipedia.org/wiki/大統領

元首とは、国の首長または、国家を外に向って一般的に代表する資格をもつ機関。

「元首」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2024年7月1日 (月) 15:57 UTC、URL: https://ja.wikipedia.org/wiki/元首

大統領にもいろいろあって、国によってその権限の範囲が異なっています。大統領と首相を両方置いている国もあります。

大統領制度というと、まず最初にアメリカや韓国の大統領を思い浮かべる方は多いと思います。僕もそうでした。大統領は国民の直接選挙で選ばれることを背景に強力な指導力を持ちます。国の代表であり、行政の長とともに軍のトップも担います。

また、大統領令という、法律と同等の力を持つ命令権を持っています。大統領1人が何百人もの議員がいる議会と同じ力があるのですから、とてつもない権力です。

ドイツやイタリアの大統領は、象徴・儀礼的な役割のみを担います。実際の行政は議会に選出された首相が行うので、日本の仕組みと近いですね。天皇や国王がいない共和制の国では、その役割を大統領が務めるというイメージです。

フランスやロシアは半大統領制です。大統領と首相がそれぞれ行政権を持っています。フランスは大統領が首相の任命権があるので、大統領の方が権限は強いです。ただ、議会がねじれているような状態では不信任案を出されてしまうので、多数派の人選をせざるをえないといった制約はあるようです。

中国や北朝鮮などは国家主席がトップに立ちますが、英語ではPresidentと表記され大統領と同じ言葉があてられています。

ロシア、中国、北朝鮮などは独裁制なので、実際のところ役職名はそれほど意味はなくほとんど皇帝みたいなものです。


今回は、もし日本がアメリカや韓国型の大統領制になったらどうなるのか、を考えてみたいと思います。

まず大きく変わるのが、大統領が元首の役割を担うようにので、天皇制の廃止ということになります。

日本国憲法の一番初めに天皇制が定められているので、まずはそこから変える必要が出てきます。改憲方法は、「国会で衆参各議院の総議員の3分の2以上の賛成を経た後、国民投票によって過半数の賛成を必要とする」となっています。

僕の印象では、まずここが非常にハードルが高いと思います。

天皇制の良し悪しというよりも、改憲には膨大な政治リソースが必要となりますから、これをやりたがる政治家がいないからです。もし改憲を発議するとなると、時の首相は政治生命をかけて取り組むことになるでしょう。

万が一、国民投票で否決されてしまえば首相退陣はもちろん、政権交代の危機にすら陥ってしまうかもしれません。世論次第ではありますが、そもそも天皇制に限らず改憲の発議がこれまで一度もなかったのは政治家は面倒な事をしたくないというのが本音だからだと思います。

特に、天皇制は国民の生活に直結するわけではありませんし、よほどのスキャンダルでもない限り世論が盛り上がる可能性が低いからです。

天皇家の後継者が断絶してしまい、共和制に移行するというのが一番現実的な路線かもしれません。

ここでは、第一のハードルをクリアして日本共和国になり、大統領制に移行したことにします。

大統領選挙は、国によって仕組みが少しずつ違います。

韓国の大統領選挙はもっともシンプルで、国民投票による一発勝負です。1度の選挙で過半数に達しなくても最多得票した候補が就任します。

スピードを重視したような選挙ですが、これは韓国という国の事情が反映されているように思います。韓国は今でも北朝鮮との緊張が続いていますから、政治的な空白をできるだけ作らないことが重視されているのでしょう。

韓国の大統領は1期5年で再選不可となっています。1期制は政権終盤でのレームダック化なども問題視されていますが、政治の変革もはやいというメリットの方が常時厳戒態勢の韓国では優先されているのかもしれません。

韓国が民主化したのは1987年6月29日であり、日本よりも40年あまりも遅いです。韓国では軍事独裁の名残りが今でもあり、政治腐敗が激しいという印象があります。次期政権に代わると前大統領が逮捕されるということが韓国では続いています。そして、さらに次の政権になると恩赦が与えられるという繰り返しが行われています。

フランスも国民による直接選挙を行っていますが、過半数を超えた得票の候補がいなければ、上位2名による決選投票が2週間後に行われます。

2回も選挙に行くのはちょっと大変ですね。日本の参院選はいつも夏に実施されますが、僕の地域では投票所に人が入らずに外で並ぶことになるのでかなりしんどいです。期日前投票の方が並ばなくて良いので楽ですね。

フランスの大統領は1期5年、連続2期まで、ただし連続でなければ再選することは可能という仕組みです。

アメリカの大統領選挙は、間接投票です。

各州は人口に応じたポイントが配分されています。各州で投票が実施され、そこで勝利した候補者がその州に割り振られているポイントを総取りできます。

もしこれを日本で行うとすると、人口最多の東京140ポイント、真ん中の熊本は17ポイント、最小の鳥取は5ポイントといったような割り振りになります。それぞれの都道府県で候補者への投票が行われ、獲得した総合ポイントの高い人が大統領に選ばれます。

ちょっと複雑なので、個人的にはシンプルな韓国やフランスの選挙方法のが好きですね。


そして、最も重要なのは候補者選びです。

各国の大統領選挙の候補者は、ほとんどの場合は各党の党首がなっています。日本でいえば、自民党の総裁や、野党の党首が候補者となるでしょう。

僕がここで、もし日本が大統領制になっても政治が大きく変わることはないのかもしれないと気づきました。

結局のところ、各党の党首が候補になるのであれば、自民党一強が続く限り自民党総裁が大統領になる可能性が高いからです。

つまり、頻繁に政権交代ができるような二大政党制とならないと、大統領制にして国民投票がされても今とそれほど変わらないでしょう。

残念ながら、日本で二大政党制になるのはしばらく時間がかかると思います。

今ある野党がすべて合流しなければ自民党に対抗できませんが、そうしようという意思は全く感じません。あらゆる手段を駆使して政権を取りに行こう、という気持ちを持っていないのでしょうね。

日本の政治の大きな問題のひとつは、ここにあると思います。

野党が本気で政権を取ろうとしないので、自民党に緊張感がない状態が続いています。与党を批判するだけで一定の評価を得て自分の議席が守れれば、それ以上のことはしなくても良いという考えの野党議員が多いのでしょうね。

野党議員はボーナスカットくらいの格差を作っても良いんじゃないでしょうか。実際、政権を担っている与党議員と比べたら野党議員の仕事量は少ないはずですよね。

総理大臣や大臣は自主的に給料をカットしています。政権の是非はともかく、仕事をしている人が給料を減らしているのに、それに比べて野党議員は給料に見合う働きをしているのでしょうか。僕自身もよく調べたことはありませんが、各議員が日報を作るくらいすべきじゃないですかね。


まったく政治経験のないトランプ大統領のような存在が生まれるのが大統領制です。

彼の評価はともかく、国民の熱烈な支持によって社会が大きく変革する可能性があります。

ウクライナでは、元コメディアンであり俳優だったゼレンスキー氏が大統領に就任しました。ゼレンスキー大統領は平時にはまったく冴えず支持率は下がる一方でしたが、2022年に始まったロシアとの戦争では一転して救国の英雄となりました。

国民の直接投票による強い支持は、大統領の権力を高めるため社会への影響力も非常に強いものとなります。

アメリカの大統領選挙の投票率は50~60%と、日本の衆議院選挙とあまり変わりません。

もし、日本が大統領制に変わって直接選挙となった場合でも、投票率が大幅に伸びるということは無いのかもしれません。制度が変わった直後や、何か大きな話題性がある時は選挙に行く人は増えそうですが、慣れてしまえばまた投票率は下がってくると思います。

日本の知事や市長など地域行政の長の選挙は直接投票できますが、それほど投票率は高くありません。もっとも注目を浴びる東京の都知事選挙でも50~60%ほどです。

いくつかの国では、投票の義務化をしています。

投票に行かないと罰金を課せられるところもあります。特に厳しい国では、例えばオーストラリアでは20~50豪ドル、ベルギー5~25ユーロ、ルクセンブルク99~991ユーロといった罰金が設定されているそうです。

日本円にすると5000円~1万円ほどの罰金なので結構大きいですね。ルクセンブルクでは最大10万円もの罰金ですからかなり厳格です。

これらの国では投票率が90%前後もあるそうで、投票率を上げるという意味では罰金制度は非常に効果的です。

病気などの事情があって投票に行けない人もいると思いますから、投票率90%というのは実質的に全国民が選挙に参加しているといっても良いでしょう。

個人的には、日本でも投票義務化をしても良いと思います。ただ、投票に行くのは手間なことは確かなので、国政選挙だけに限定するくらいが良さそうです。罰金は5000円くらいが妥当でしょうか。

投票率を上げることで、相対的に支援団体などの影響力が低下し、より幅広い国民に向けた政策が増えます。

今の日本では、投票率が6割程度で、その中の過半数を取れば与党になれますから、実質的に全国民の3割ほどの支持があれば良いことになります。

3割の人の利益が優先され、7割の人が軽視されているのが日本の現状です。

自民党は選挙前になるとよく、住民税非課税へのバラマキを行います。住民税非課税世帯は全体の24%を占めており、ここが票田となっているからです。

また、自民党は経団連をはじめとして大企業との繋がりも強いです。ここから政治献金と票を集める代わりに、公共事業を発注したり法人減税といった優遇政策を行っています。

僕のような中小企業に勤めるサラリーマンは、自民党政権が続いても大きな恩恵は受けれらません。

しかし、もし投票率が90%となれば、与党になるために必要な投票割合が全国民の30%から45%と1.5倍増しますから、政策面でも大きく変わるはずです。

今回は、もし日本が大統領制になればどうなるだろうか、大きく政治が変わるきっかけになるのではと思い考えてみましたが、投票の義務化と罰金制度を採り入れればもっと簡単かつ効率的に改革することができそうだという結論にいたりました。

世論が高まりさえすれば、導入のハードルはそれほど高くないと思います。国民の政治への関心が高まれば、献金や党員も増えて政治家にもメリットがあります。

皆さんどう思われますか?

コメント

タイトルとURLをコピーしました