メディアの報道しない自由について考える

考え・意見

時代と社会が動いていると実感できる珍しい現象が今起こっていると思います。

時代が動くということは情勢が不安定化しており、現状があまり良くないとも言えるのですが、これから改善していくのであれば歓迎すべきことなのかなと思っています。

その動きはコロナを発端に数年前から始まっていると思いますが、昨今の厳しい物価高によって一気に噴出してきたようです。

特に今渦中となっているのは、政治家の腐敗と、メディアの堕落です。

なんとなくの直感ですが、今は問題が表面化してきてい始まりであり、最悪の状態に落ちていくのはこれからだと思っています。

もちろん、それに抗って改善する動きも出てきていますが、改革されることによって損害を受ける既得権益の勢力の方がまだまだ優勢なように見えます。

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インターネットによる情報の自由化

インターネットが出てくる前は、雑誌や新聞、テレビなどのメディアが大半の情報の発信源でした。それらの媒体で働く記者と、彼らをまとめるプロデューサーによって全国民の情報の大半が握られていたのです。

インターネットが登場してもしばらくは一部のオタクやギークといった人たちだけの狭い世界に留まっていましたから、社会的にはそれほど影響力はありませんでした。

大きく変わったのはスマートフォンの登場だと思います。一人一台スマホを持ち、インターネットに常時接続している時代になったことにより、既存メディア以外の情報源が生まれました。しかし、この時はまだ発信者の力が弱く、既存メディアの立場が揺らぐことはありませんでした。

ビッグウェーブの要因となったのは4G回線の普及だと思います。

4Gによる通信環境の向上によって、youtubeなどの動画の視聴回数が圧倒的に増えました。日本ではニコ動も流行っていましたが、クリエイターの収益化に積極的なyoutubeに軍配が上がります。4Gだけではなく半導体の能力向上やサーバーの大容量化などの要因も下支えしていました。

また、動画クリエイターだけではなく、ツイッターやインスタグラムなどのSNSの躍進によって一般人の発信のハードルが大きく下がりました。それまでは、ミクシィやフェイスブックなど、リアルの交友関係をネットに持ち込んでいたのが主流でしたが、ツイッターではリアルの接点がまったくないネット上の繋がりが増えていきます。

こうしてネット上で十分な需要に対して発信力が高まり収益化が進むと、専門家がネット上での配信にも参入してきます。例えば、お笑い芸人や起業家、元国会議員などがyoutubeでも発信をはじめました。

ユーザーが1次情報に直接触れることができるようになりました。これは革新的な出来事です。

これまで、お笑い芸人の芸はテレビを通じてしか見ることは出来ませんでした。テレビ放送の間には、ディレクターやプロデューサーなど大勢の人が演出にかかわっており、また収録したすべてが放送されるわけではありません。時には、芸人が意図しない形で放送されたり、重要な部分がカットされることもあったでしょう。

国会議員の発言が切り取られ、意図していない方向に歪められて報道されることもあります。

これまでは、新聞やテレビしか情報源がなかったので、こういった歪んだ報道があるということ自体が隠されて国民が感知することはできませんでいた。しかし現在では、メディアを通すことなくユーザーに直接発信することが可能になっており、メディアの暗黒面が知れ渡ることになりました。

2024年夏の都知事選ではメディアの歪んだ報道の仕方が一気に表面化します。

現職の小池氏と、野党第一党の支援する蓮舫氏による女性2人の候補の一騎打ちという報道が各紙やテレビでは踊りましたが、選挙が実施されるとそれまでほとんど報道の無かった石丸氏が2位に躍進するという結果になりました。

ネット上ではメディアが意図的に報道しなかったと騒がれましたが本当のところはわかりません。しかし、結果として予想を外し石丸氏の支持拡大を見極められなかったことは、新聞やテレビ記者の取材力の低下を露呈したことになります。

そして、この記事を書いている2024年8月26日現在ですが、新たなメディアの堕落を目の当たりにしています。

9月末に実施される自民党の総裁選は、実質的に次の首相を決める重要な選挙です。連日、総裁選への立候補者がニュースと飛び交っていますが、1年前から総裁選への出馬を明言している青山繁晴参議院の報道が一切されていません。

青山氏は記者会見を開き、推薦人20人の目途も経っていると明言されています。しかし、主要各紙やNHKを含めたテレビの報道では彼の存在をまったく無視しています。

これは国民の知る権利をまったく無視する行いです。自民党の総裁選は国政選挙なので、法的には公平な報道は不要という論理もありますが、そんなものはまったくの詭弁であって国民の理解を得られるはずはありません。

総裁選が始まって青山氏が出馬すれば、メディアがまったく報道しなかったことが公になることは明白なのになぜこんなことをするのか理解できません。そのデメリットを甘んじて受けてまでも報道したくないというとこなのでしょうか。

ただ、今となってはメディアに頼らずともユーザーが自身で情報を探し発信者に直接アクセスできる時代となっています。僕自身も、青山氏のブログやyoutubeを調べて記者会見も視聴しました。

青山氏の出馬会見では、20人以上の記者が取材にきており、朝日新聞などは質問もしています。情報は集めているものの、報道を止めている人がいるということですね。しかも、各社が足並みをそろえているところからも、偉い人同士が結託してやっているのでしょう。

情報操作をしても国民は気づかないだろうと見下されているようで気分が悪くなります。

こんなことがまかり通ってしまうと、新聞やテレビの情報そのものを疑って見ざるをえなくなります。本当に記事の内容があっているのか信用できなくなれば、ニュース自体を見なくなるでしょう。記者やメディアが手を入れているニュースよりも、少し調べる手間はかかっても本人が直接発信しているyoutubeやブログを見た方が正確な情報を得られるからです。

最近では、投票率の高い50代以上の方でもスマホやタブレットが普及しており、ネットはもちろんyoutubeの視聴も広がっています。僕の親も年金受給世代ですが、タブレットでyoutubeをよく見ている層です。

もはやテレビや新聞しか見ないというのは80代以上の一部の人に限られているではないでしょうか。

ネットが楽しくて便利ということもありますが、メディア自身がメディア離れを加速させている要因になっているのではないでしょうか。

誰しもが発信する時代に

今後はさらに、メディアの影響力は低下していくと思います。

有力な記者は自ら媒体を立ち上げて発信すればよく、新聞やテレビを介する必要が無いからです。独立すれば収入も大幅にアップするでしょう。例えば、戦場カメラマンのような過酷な環境下であっても、スターリンクのような衛星インターネットを利用すれば自身でリアルタイムに更新することも可能です。

政治家も自身のブログやyoutubeを持ち自ら発信していけば、他人に手を加えられることなく有権者に直接語り掛けることができます。

僕も選挙の時は、候補者のブログなどを確認しに行きますが、候補者自身もその重要性を認知しているのか年々情報が増えていっているのを実感します。逆に、ネット上でまったく情報が手に入らないような候補者には票を入れようとは思わなくなりました。

これは当たり前の話で、民間企業であれば自分の業務成果を日報として上司に報告するように、政治家は有権者に活動報告を定期的にしてしかるべきなのです。

もはや、自分で発信していない政治家は信用されず、選挙にも勝てなくなります。あと10年もすれば有権者のほとんどがネットユーザーになりますからこの傾向は加速していくでしょう。

政治家だけでなく、芸能人やスポーツ選手などにも同じことがいえますし、もしかしたら一般企業や一般国民にも波及していくかもしれません。

これまではどんなに良い商品を開発しても、認知度が無ければ売れることはありませんでした。認知度を上げるためには高い広告料を払うしかありませんが、そこまで資金力がある企業ばかりではありません。

しかし、企業が自らyoutubeや公式サイトなどで発信していけば広告料を抑えられますし、ユーザーに直接的にアピールすることができます。例えば、商品の原材料や製造工程などを公開すればユーザーの安心に繋げることもできます。よく野菜やお米などで生産者の顔を印刷していたりしますが、それをさらに広げることができます。

ただ、やはり自己アピールには限界がありますし、ステルスマーケティングやフェイクニュースなどの問題もあります。そこではメディアが一定の役割を果たすと思います。

メディアの重要な仕事のひとつは、事実をそのまま報道する事です。

先ほど挙げた例でいえば、都知事選で石丸氏が支持を広げていることや、青山氏が総裁選への出馬を明言していることを、そのまま報道すれば良いのです。

記者やディレクターによる勝手な解釈や切り取りはせず、彼らの政策の是非は国民に任せるべきです。

もちろん、世の中には一般的には難しいニュースもあるので解説記事の需要もあるでしょう。しかし、それは報道とは区別すべきです。新聞でいえば社説のように別枠で掲載するのが正しいでしょう。もし同じ記事に載せるとしても、報道部分と社説を明確に区切れば良いと思います。

ただ、人が介入するものですから完璧に公平な報道にはならないのが現実です。偏りが悪いのではなく、メディア各社がそろって同じ意見にすり合わせているのが間違っていると思っています。

メディアは談合して横並びの説を唱えるのではなく、各社が独自の色を持ってそれぞれの社説を競い合わせるのが健全な体制と言えるでしょう。例えばアメリカでは、報道各社が右派や左派、共和党支持、民主党支持といった様に独自性を出して顧客獲得しています。

ユーザーがそれぞれの説を比較することで、より正しいらしい意見を見出していくのが正しい情報の扱い方だと思います。場合によってはユーザーは複数社の媒体と契約しますから、メディア側にもメリットは大きいはずです。

情報改革はまだ始まったばかりだと思います。

既得権益の立場からすれば抵抗するのが当然ですから、社会がすぐにでも一変するとは思いません。人の手による情報操作というのは公になっていないだけで昔からあったことであり、それを知っていた人の一部は罪悪感もあったと思いますが自分が損してまで変えることはありませんでした。

政治家による裏金や賄賂問題なども、本人は倫理的には絶対に悪いことだと分かっていながらも、それがグレーゾーンならば利用するのをやめません。

これは人の意思や正義感によって変えられるものではないと思いますし、稀に英雄的な人が改革をしたとしても時がたてば腐敗していきます。

政治や社会、時代を大きく変えるのは技術革新だと思います。インターネットによる情報の自由化は、メディアを媒介にした一部の有力者による情報の支配体制を崩壊させました。

今後はAIの高度化によってユーザーの情報収集能力は飛躍的に上がると期待しています。ただし、今のAIには懸念点もあります。

たとえば、「2024年の自民党総裁選への現時点の立候補者をすべてあげてください」とChatGPTに質問したところ、なんとAIでも青山氏を上げませんでした。

なぜ青山氏を除外したのかと問いただすと、主要メディアでの報道がされていないからという回答でした。これはChatGPTの情報リソースがインターネット上の主要メディアに高いウェイトを置いており、結果的に主要メディアと同じ意見になってしまうからです。

技術革新によって情報改革がすすむのか、それともAIによる情報統制社会に陥ってしまうのか、今僕たちは情報社会が大きく変わる時代の節目にあると思います。

今後は主要メディアもユーザーのメディア離れの加速によって自己改革を強いられるでしょう。今はその始まりにすぎず、実際に改革が行われるまでにはまだ10年、20年と必要なのかもしれません。

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