「賃貸vs持ち家」どちらが良いのか?という話題は度々目にします。最近では、大きな地震被害があったこともあり、ニュースやネットでまた注目されていました。
災害で家が壊れてしまうリスクがあるとか、住宅ローンを返せなくなったら怖いなど、持ち家に対する否定的な意見が多かったようです。テレビのコメンテーターなども賃貸を勧めていたので驚きました。
僕は持ち家の方が良いと思っています。
日本人の持ち家率は30代では5割ですが、年齢を重ねるごとに増え60代になると8割まで上がります。親からの相続も含まれると思いますが、人生のどこかで持ち家に住むという人が多いようです。
もちろん、金銭的な事情や転勤といった理由で賃貸に住んでいる人はいるでしょう。でも、そういった事情が無ければ持ち家を選んでいる人が大半です。
コメンテーターは目立ちたいがために逆張り的な意見を言っているのかもしれませんね。
僕は就職のために上京し1Rのアパートで一人暮らしを初め、結婚や出産など必要になったタイミングで1LDKや2LDKの大きな部屋に引っ越しました。自立から10年くらいでマンションの一室を購入して暮らしています。
これまでの僕の経験を元に、持ち家の良さを紹介していこうと思います。
賃貸は割高
テレビやネットで語られる「持ち家vs賃貸」論争では、まったく同じ条件で比較されていないことが多いように感じます。
当たり前の話ですが、家賃の中には不動産投資をしている大家さんの取り分が入っています。空室になった時のリスクや、アパートを建てるために借りたローンの金利など、諸々の費用を含めて利益が出るような家賃設定をしているはずです。
もし、まったく同じグレードの部屋に住むとしたら持ち家よりも賃貸の方が割高になるのは当然です。
質の高い作りをしている分譲住宅や分譲マンションを賃貸で借りようと思ったら、かなり高額の家賃になるでしょう。
もし失敗するとすれば、身の丈にあっていない高すぎる物件を買い、住宅ローンを払えなくなってしまうことでしょう。
ほとんどの人は、人生で一度きりの大きな買い物になりますから、妥協したくないという気持ちや理想が大きくなってしまうかもしれません。
色々なアパートに住みましたが、住居としての質はあまり良くありませんでした。初めて一人暮らしをした時に借りたアパートは、高円寺から徒歩15分くらいのところにあり、間取りは1Rで月63,000円でした。壁が薄く、隣からシャワーを浴びながら歌っている声が漏れてくるほどです。
都内は住宅が密集しており、角部屋でしたが1階だったこともあり日当たりが悪く1年中ジメジメしていました。換気扇の性能が悪く、ユニットバスでシャワーを浴びると湿気がしばらく取れませんでした。
ロフトのある部屋に憧れて選んだのですが、いざ住んでみるとはしごの上り下りが面倒になり、なるべく使わない物を閉まっておく物置になりました。天井が高いので、エアコンが効くまで時間がかかるのもイマイチでした。
そして、退去のために片付けた後に気づいたのですが、ベットの重さで部屋の隅が陥没して穴が空いているのを発見しました。外見は綺麗だったのですが建物はかなり古かったようで、まさか床が抜けるとは思ってもおらず衝撃を受けました。
結婚して初めて住んだアパートはまだ若かったので節約のためにも1LDKを選びました。都内からは離れたのですが駐車場を借りたこともあり、家賃は全部で月に80,000円ほどでした。住居費は収入の3分の1ほどまでが目安とよく言われますが、この金額はギリギリのラインでした。
リビングの広さは10.5畳でしたからそれほど広くありません。各部屋もアパートは持ち家と比べると狭く、床面積は少ないです。
こどもが生まれると1LDKでは手狭になったので、近所の2LDKに引っ越しました。住居費は更に上がって約10万円でした。これくらいの金額になると、家賃を払い続けることが少しもったいなく感じます。住宅ローンは返済すれば終わりますが、家賃は永遠に無くなることはありません。
家が古くなれば修繕費がかかるので、住宅費がゼロになるわけではありませんが、賃貸よりは安く済みます。
一軒家であれば駐車場代も浮きます。僕の借りていたアパートでは1台あたり月8,000円しました。2台分になれば16,000円もしますし、タイミングが悪くて空いていなければ借りられない場合もあります。近所の月極駐車場を借りる方法もありますが不便です。
残念ながら、僕のマンションでは駐車場代がかかります。でも、集めたお金は将来的に修繕費などに使われるので積立だと思えば意味のある出費ともいえます。
今は持ち家ですが、住宅ローンやマンションの管理費、固定資産税などをすべて含めてもアパートに住んでいたころよりも少し安いくらいの金額で収まっています。頭金をかなり入れたので単純比較はできませんが、固定費が減ると気持ちが楽になります。
もし親が補助してくれるというラッキーな家庭であれば、住宅費を下げることができるかもしれません。住居取得を目的とした場合、一定額まで贈与が非課税になる制度があります。
マンションですが1階を選びました。階段やエレベーターの上り下りをしなくて良いからです。庭もついているので、洗濯物や布団などを広々と干すことができますし、テントを張って遊んだり家庭菜園を楽しんだりしています。
賃貸に住んでいた頃よりも生活の質はぐっと上がったと思います。
住居にどこまでお金をかけるか
賃貸派の方は、家にあまりいない人が多いのではないでしょうか。平日は仕事で忙しく、休日は外出して過ごすことが多いという生活であれば、帰って寝るだけの家にお金をかけたくないと思うかもしれません。
テレビのコメンテーターなどは、ある程度、社会的に成功しており忙しい人なのでこの傾向が強いと思います。
僕も独身の時は、家にいる間はベットの上で過ごしていることがほとんどだったのでその気持もわかります。学生の頃に寮生活を送っていたこともあり、一部屋だけでシャワーとトイレや洗濯場が共同という環境でも問題なく住めます。
しかし、家族を持ってからは考え方が変わりました。
自分だけではなく家族全員が快適に過ごせる環境作りが必要であり、そこにお金をかける価値があると思います。
テレワークの際は通話会議などもあるので静かに集中できる部屋がいります。こどもはピアノ教室に通っているのですが、アパートでは楽器を禁止しているところが多いので持ち家でないと自宅で練習ができません。
家族と言っても四六時中ずっと顔を合わせていると疲れてしまいますし、それぞれがプライベートの時間を過ごせる場所は大切です。男女のこどもがいれば、別々の部屋が欲しくなるでしょう。
独身時代のように必要最低限ではなく、ある程度の余裕を持った住居空間が必要になります。
お金の使い方は人それぞれ違います。
僕はテレビで満足できるので、スポーツ観戦には行きません。でも、スタジアムで味わう臨場感は時間とお金をかける価値があると言う人もいるでしょう。映画はあとでレンタルが出てから見れば良いですし、本はまだ読んでいないものが図書館にゴマンとあるので自分で買いません。
もし青空文庫をすべて読み切ろうと思ったら、おそらく寿命が足らないでしょう。
現代では無料の娯楽が溢れており、有料コンテンツに手を出す暇がないほどです。僕の場合は、そういった娯楽よりも生活空間にお金をかけたいタイプなのです。
そんな物に大金を出すのは馬鹿らしい、と他人に言われたところでその批判に耳を傾ける必要はないでしょう。一方でその人は、あなたがそれほど価値を感じないものにお金を使っているかもしれないのです。
特に人生を左右するような大きな決断ほど、損得勘定ではなく価値観に左右されると思います。
独身の方が時間やお金を自由に使えるからコスパが良い、と知人に言われたらあなたは好きな人との結婚を止めようと思うでしょうか。その人のアドバイスにどこまでの信憑性があるのかわかりませんし、もし失敗や後悔をしても責任をとってはくれません。
それをした場合としなかった場合のABテストは出来ません。先の見通せない未来に後悔しないためには自分で決断をするしかありません。
答えの分からない問題に対する考え方として、統計を信じるというのは一つの方法です。多くの人が実践していることは、それほど大きな間違いになりにくいです。
もし、マイホームを買って後悔する人が多いのならば、価値の落ちる前に売って賃貸に戻るのではないでしょうか。でも、そういう話はほとんど聞きません。駅前のマンションなど人気物件であれば価値が上がることもありますが、それほど売りに出されません。
60代以降の8割の人が持ち家に住んでいるという統計は参考になると思います。もちろん、この先の人生で家を売って賃貸に住み替えることもあるかもしれませんが、少なくとも今は家を買ったことを後悔していません。
家を買ってみて気づいたこと
妻が家が欲しいと言ったのがマイホーム探しのきっかけです。
昔は、漠然と40歳くらいに家を買えば良いかなと思っていました。親が家を建てたのが40歳だったのでその影響もあったかもしれません。
32歳と僕の予定よりも早かったかったのですが、結果的にこの決断は良かったと思っています。
僕が住んでいるエリアはもともと田畑ばかりの田舎だった場所に大規模な資本が入り、駅やショッピングモールなどを建てて開発された新しい街です。
アパートに住んでいた頃はまだ空いている土地が結構あったのですが、わずか2~3年で家やマンションが立ち、それもすぐに売れていきました。駅近くの人気の場所から埋まっていき、家の価格もどんどん上がります。
あと10年も待っていたら、この近くで家を買えなかったかもしれません。
別の地域に引っ越すとなると、こどもを転校させることになります。僕は昔、友達ができずに不登校になってしまった経験があったので転校は避けたいと思っていました。
ずっと賃貸に住み続けるという選択肢もありましたが、2LDKのアパートではいずれは手狭になりますし、かといって3LDKのアパートは家賃がかなり高くなるので、それならばいっそのこと家を買う方が良いと考えました。
僕は持ち家になればすべて自己責任で自由に出来るというイメージを持っていましたが、実際はそうではありませんでした。マンションなので、例えば庭でバーベキューをすることが出来ないとか、ペットは敷地内は抱えて移動すること、などの規約があります。
一軒家ならば自由度は高くなりますが、やはり近所迷惑にならないように配慮は必要です。
トラブルになって住みづらくなっても嫌ですから、気を使って暮らしている人が多いでしょう。もちろん、これは悪いことばかりではなく、静かで住みやすい環境だというメリットでもあります。
持ち家のデメリットとして、隣の住人を選べないリスクが指摘されることがありますが、関係性の希薄なアパート住まいよりも良い隣人になる可能性が高いと思います。
アパート住まいの頃は隣近所の住人の顔も知りませんでしたが、持ち家になってからは今のマンション内ではすれ違う人とは会釈や挨拶をする習慣となっており治安面でも良好です。こどももそれに習って挨拶をするようになっているので教育面でも良い影響がありました。
うちのマンションでは、若い世代の人が多いようで、娘と同い年のこどもが沢山いて友達もできました。
僕の場合は、数年間アパートで住んでおり街の様子を把握していたので不安はありませんでした。念のため災害マップなどは確認しました。
まだ引っ越して数年ですが、今のところ不満はありません。不安があるとすれば、数十年後のマンションの建て替えなどですが、そこまで先のことは正直あまり考えていません。一生ここに留まりたいという強いこだわりもないので、もしかしたらいつか売ってしまうかもしれませんね。
親族の経験談
僕の両親は祖母が亡くなった際に相続した祖母の家にうつり、もともと住んでいた持ち家を売りました。
築20年くらいだったので建物の価値は無くなっていたそうですが、土地代だけでもまとまったお金が入ってきたようです。売値は3000万円くらいで出していたようで、実際にいくらで売れて手元にどれだけ残ったのかはわかりませんが結構な大金になっていると思います。
家は資産になるという話は聞いて知っていましたが、実際に身内の話を聞くと現実味が違いますね。立地など条件にもよると思いますが、資産価値のある持ち家があれば老後も安心です。
僕の叔父は、新築建てた直後に不運なことに転勤になってしまいました。やっぱり転勤の可能性がある人は家を買うのはリスクがありますね。
叔父の場合、転勤は期間が決められていたようで、それまでの間は賃貸として貸出していました。相場よりもかなり割安で貸していたようですが、一定期間で出ていかないといけない条件なので借りる側も難しいところです。
叔父一家は数年後に戻ってきて、今もずっと同じ家に住んでいます。
家を買うリスクとして、万が一、離婚してしまった際に手続きが面倒だという指摘があります。
3組に1組が離婚すると言われていますし、身近なところでいえば僕の長兄が離婚していますから、まったく他人事ではありません。30歳中頃までには、友達も何組か離婚していました。
それでも、家を買った夫婦ではまだ離婚したという話は今のところ聞いていません。持ち家のある夫婦であれば、しっかりした生活基盤があり、責任感も強いからかもしれません。また、生活環境が良ければストレスも軽減できるので、家族や夫婦の関係性を良好に保つ効果もありそうです。
そもそも、離婚が怖いというのなら、家の購入の前に結婚も出来ないような気がします。
最後に、どうしても人生がうまく行かず住宅ローン破産してしまったら、という不安はありますがあまり考えないようにしています。
賃貸であっても家賃の支払いは必要ですから、お金がまったく無くなってしまった場合には困ることに変わりありません。
どうしても八方塞がりになってしまったら、その時は資産をすべて売り払い、生活保護などの助けを借りながら生活を立て直すしかありません。最悪のケースを考えていたら何もできませんから、ある程度の余力を残しつつ自分の身の丈に合ったマイホームを選べば良いのではないでしょうか。
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