こどもがまもなく6歳になります。6歳というと僕自身もその頃の記憶は随分と残っていますし、感慨深いものがあります。
6年も経つと、だんだんと赤ちゃんの頃の子育ての記憶も薄れてきています。せっかくなので、思い出せるうちに特に印象の強かったことなどをまとめて置こうと思います。
子育てで一番つよく感じたことは、個人差が大きくネット情報や子育て本に書いてあることがまったく通用しないことが多いということです。
本によってはまったく反対の事が書いてありどちらを信じて良いのかわからないことすらありました。特に幼い頃の情報ほど真偽が怪しかったり諸説あるといった曖昧な表現のが溢れています。
そして、重要なのはそれらを参考しつつも、こどもと向き合って柔軟に対応することだと思います。子育ては完璧を求めず手抜きするくらいがちょうど良いのかなと思います。
こどもを観察し直感を信じる
僕がはじめて読んだ子育て本は、図書館でたまたま手にしたものでした。タイトルや著者がどんな人なのかはもう忘れてしまいましたが、内容は今でもしっかりと記憶に残っています。
活発で好奇心や冒険心が強い子もいれば、感受性が強く慎重で思慮深いこどももおり、そういった特性や個人差は生まれた直後でも現れるそうです。
つまり、親の手ではどうしようもない天性の素質というものはある程度存在し、すべてを親が思う通りに育て上げることは不可能だということです。どちらかというと、子どもは放っておいても勝手に育っていくので、それをうまくサポートしてあげるくらいの気持ちの方が良いのかもしれません。
そしてこどもが生まれ、僕自身が子育てを経験する中で、この本が語っていた内容を実感することになりました。
まず、我が家では最初に話し合った結果、母乳神話を否定することで一致しました。
赤ちゃんは生まれてしばらくは3時間おきにミルクが必要になりますから、母乳一本で育てると100%負母親に負担が行ってしまいます。母乳は腹持ちが悪く、飲み具合によってはさらに頻繁に上げなければなりません。
粉ミルクであればいくらかは父親があげることができます。夜中は21時と3時、24時と6時と担当を分ければそれなりにまとまった睡眠を両親ともとれます。
母乳をあげたいという希望もあったので、日中にはあげていたようです。うちの子は特に選り好みすることはなくどちらも飲んでいました。
粉ミルクは満足感が高いようで、ほとんど夜泣きもせずミルクをあげればすぐに寝付いてくれたので、産後の育児はそれほど負担に感じませんでした。
ミルクをあげる間隔もまったく決めずに、こどもが泣いたら随時投入することにしていました。
ネット情報では生まれた直後は満腹中枢が育っておらず飲みすぎてしまうとありましたが、うちの子はいらなくなれば舌で押し返す仕草をしてちゃんと意思表示していました。
友達はしっかりミルク量を測り、あげる時間も決めていると言っていましたが、うちは結構ルーズな感じでしたね。
生まれて3週間くらい経つと、こどもとのコミュニケーションが少しづつ取れるようになってきました。赤ちゃんはしばらくお人形のような感じかと思っていましたが、人間らしいところも出てきました。
僕が声にだして「うーうー」と話しかけると、こどももそれを真似して「うーうー」と返事をしてくれます。
まさかこんなに早い時期から赤ちゃんとコミュニケーションを取れるとは思っていませんでしたから、とても驚きました。
そして、この「うーうー」というやり取りを赤ちゃんも気に入ってくれたようで、何回か繰り返していると声を立てて笑うことまでありました。
笑うという仕草も、人間が本能的に持っているものなのでしょうか。
ある日、ちょっといたずらごころが湧いて、赤ちゃんが泣いているのを少し焦らしてみたことがあります。
ミルクをあげてオムツも換えた後でしたし、どうやらかまって欲しいだけのようです。そこで、まったく反応を返さずに息を潜めてじっとして様子をみることにしてみました。
すると、赤ちゃんは泣くのを止めてチラッとこちらを見たのです。
「なんだ、いるじゃん!」というような顔をして、また嘘泣きを始めた仕草はとても人間くさくて驚きました。
これも生後1ヶ月くらいにあった出来事です。
ネット情報を見ると、親を認識するのは6ヶ月くらいまでかかるとか、生理的な反射だとされていますが、赤ちゃんにはもっと高い認識能力や自我があるように思えます。
他の子と違う部分があると何か深刻な異常があるのではないかと不安になってしまいますが、ほとんどの場合は杞憂です。その時は思い悩んでしまうこともありますが、過ぎ去ってしまうと大したことではなかったことが多いです。
うちの子は2歳4ヶ月くらいまで哺乳瓶でミルクを飲んでいました。
一般的には生後6ヶ月ほどから離乳食をスタートし、1歳半くらいで卒乳するそうですから、うちの子はかなり遅れていました。
離乳食は嫌がり、ほとんど食べませんでした。かろうじて食べるのは食パンの白いところだけで、2歳を過ぎても9割の栄養をミルクから取っていました。
最後の方はミルク作りもかなり洗練されていましたね。電気ケトルで沸かしたごく少量のお湯に粉ミルクを投入して箸でかき混ぜながら溶かし、水道水を入れて冷やせば30秒くらいですぐに飲めるミルクが完成します。
かなり大きくなるまでミルクに頼った食事を取っていましたが、栄養面では特に問題はなかったと思います。健康診断で何か指摘されるということもありませんでした。
粉ミルクをケチって、7~8割くらいまで分量を減らしていったのが卒乳できたきっかけかもしれません。5割くらいだと流石に薄すぎて飲んでくれず、作り直さなければならなかったので7割くらいがギリギリのラインでした。
うちの子は早生まれだったことに加えて、成長速度が同月齢の中でも少し遅いくらいでした。
幼稚園に入ってからも言葉があまり出ず、ほとんど無言で過ごしていたようです。ようやく喋るようになったのは4歳お誕生日を迎えたころでした。
成長の遅さは気になっていたので、病院に相談に行ったこともあります。しかし、幼少期には個人差があるので様子見しましょうと言われるだけで特に何かをしてくれることもありませんでした。
当時はこどもの成長で悩むこともありましたが、今では四六時中しゃべっており静かだった頃が懐かしいくらいです。
トイレトレーニングにはかなり苦戦しました。
3歳ごろに挑戦して挫折してからはしばらくトレーニングは諦めていました。トイレに行かせるだけで大泣きしてしまい、それにつきあう親もかなりしんどかったです。言葉がうまく話せなかったのもトイレトレーニングを難しく感じた一因だと思います。
トイレに行けなくても死ぬわけではありませんから、無理強いする必要はないかなとは思っていました。
ようやくトイレに行けるようになったのは5歳になってからでした。練習をはじめるとトイレが怖くて大泣きしていましたが、幼稚園で他の子はトイレに行っていることを本人も知っていますし、そろそろ練習しないといけないという自覚はありました。
大泣きしながらも1週間ほどでトイレに行けるようになりました。時間がかかると思っていた大の方は、なぜかすんなりと出来るようになっていました。
トイレに行けなかったことが問題になり、幼稚園とバトルすることもありました。幼稚園のルールではオムツ登園は禁止されており、トイレに行くように指導していました。
しかし、うちの子はどうしてもトイレができませんでしたし、パンツで登園させると我慢してしまっていましたから集中力が散漫になったり、体に負担がかかり膀胱炎などになってしまうリスクもありました。
そこで病院の先生と相談し、神経過敏症という診断書を書いてもらい幼稚園に例外措置としてオムツ登園させることを認めてもらいました。
幸いなことに、うちの子は健康面ではまったく問題がありませんでした。
大きな病気になることもなく、アレルギーなどもまったくありません。やや偏食なところがあり、小柄ではありますが僕も幼い頃はそうだったので遺伝かもしれませんね。
甥っ子などはアトピーを持っていて夜泣きが酷かったようですし、知人の子はちょっとした手術を受けることになったという話を聞いたので、うちは比較的育てやすい方だったのかなとも思います。
他の子と比べることは、メリットもデメリットもあります。
ある程度は成長の目安になりますし、親が気づいていなかったところは真似してキャッチアップしていくことも重要だと思います。一方で、こどもにはそれぞれ個性がありますから、自分のこどもが劣っている部分があっても過度に劣等感をもつ必要は無いと思います。
無理して背伸びしすぎても、それをずっと続けるのは非常に困難でストレスの大きいものです。
現実として、遺伝的な才能や特性というものはあると思います。
それはそれとして認め、ちょうど良いところを見極めて自分の居場所を見定めるのが重要だと思います。
例えば、偏差値60の学校に入って順位が下の方にいるよりも、偏差値55のところでトップにいた方が気持ちが良いし自信もつくと思います。
僕自身は特に際立った取り柄もない普通のサラリーマンです。僕は仕事で失敗することがしばしばありますが、それが何らかの致命的な被害を出すことはまずありません。
しかし、お医者さんなどが治療ミスをすれば取り返しがつかないこともあります。お給料の高いお医者さんを羨ましく思いますが、自分がその責任を負えるかと言われれば自信はありません。
大きな収入を得ている人には、それなりの責任があると思います。
親になると、こどもに対してどうしても期待をしてしまいます。
こども達にはそれぞれが長所短所を持っていますから、親の理想を押し付けるのではなく、良いところを伸ばして苦手な事はサポートしてあげるような子育てが良いのではないでしょうか。
また、自分がこどもの頃にされて嫌だったなと思うことを、知らぬ間に自分のこどもにしてしまっていることもありますから、気をつけないといけませんね。
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