僕の育児経験から考える少子化対策

体験談

我が家はひとり娘がいます。夫婦で話し合った結果、こどもを作るのはひとりで終わりにしようということになりました。

こどもの人数については数年ごとに話をし、その時々で考え方が変われば違った未来もありましたが、結果的にひとりで満足する形に収まっています。もちろん、この先の将来、やっぱりもう一人欲しいとなる可能性はゼロではありませんが、これから妊娠すると高齢出産になってしまうこともありますし変わることは無さそうです。

そこでふと、今の僕たちの気持ちや環境の中に日本が抱える少子化問題の原因がいくつか含まれているのではないかと思いました。

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思ったよりもお金がかかる

ありがちな悩みですが、子育てにはお金がかかります。わかってはいたつもりですが、やはり現実となるとどうしても負担に感じます。

まず、出産費用ですが、国から40万円ほどの補助金がでます。でも、このお金は手続きすることで、病院に直接的に振り込まれるので、補助してもらった実感はほとんどありません。ありがたいことではありますが、一度も自分の口座に入ることもないので仕方ないと思います。

出産補助金は結構な金額ではありますが、これだけでは足らずにいくらか持ち出しがありました。

まず、我が家の場合は出産時にの病室に個室を選んだことがあります。大部屋であれば入院コストは抑えられますが、はじめての出産ということもありプライバシーの確保を優先しました。

結果的には個室にしたのは正解でした。というのも、あらかじめ出産日を決める計画分娩だったのですが、初日に生まれず2日がかりになったからです。もし大部屋だったら、他の人がこどもを産んだのに自分だけ取り残されてしまったと妻は気落ちしたと思います。

また、娘は生まれた際に健康チェックに引っかかり、1週間ほど保育器に入ることになりました。他のお母さんがベットの隣にこどもを連れてくるところを見るのは辛かったでしょう。

娘は検査入院ということになったのですが、赤ちゃんなので医療費は無料でしたが、食費だけは自腹ということになりました。食事といっても生まれたての赤ちゃんですから1日で100mlも飲みませんが、おそらく看護師さんの手間代なども入っていたのでしょう、1日あたり2000円くらいしました。

また、入院中もお母さんは搾乳やこどもの世話をするために病院に通う必要がありました。産後の体なので無理することができず、タクシーが必要となったのでそれなりの出費となりました。

色々なお金をすべて合わせると10万円くらいは自腹でした。出産前の検査なども含めると、さらに数万円はかかっています。

赤ちゃんを自宅に迎えることができたのですが、娘は呼吸不全の疑いがあるということで経過観察が必要でした。たまに呼吸をしなくなる、というのですから恐ろしいです。このため、呼吸センサーをレンタルすることになったのですが、1ヶ月で2万円くらいしました。

命には変えられないので必要なものとはいえ、思わぬ出費です。

ベビーベットは義兄夫婦のお下がりを頂いたので助かりました。ベビーカーは軽いものが良いと思い奮発して5万円ほどのものを購入しました。洋服やオムツ、ミルクなどの用意は必要でしたが、3歳未満は月15000円の児童手当で収まったと思います。

幼児期は出費を抑えようと思えばできそうですが、その分だけある程度の我慢は必要です。

今は娘は幼稚園に通っています。幼児教育・保育の無償化の恩恵もあって授業料は実質無料となっています。でも、やはりプラスアルファの出費があります。

まず、入園時に制服を揃えたり、諸々の費用を合わせて16万円くらい必要でした。また、通園バス代、給食費、遠足費、設備費などで年間20万円くらい請求がきていました。

こどもが一人なので何とかなっていますが、これが2人、3人となるとちょっと僕の給料だと厳しくなります。

この先のことは正確にはわかりません。でも、大きくなるにつれて必要なお金は増えていくので計画的な貯金が必要です。

でも、節約できない部分もあります。たとえば、こどもには習い事をさせてあげたいです。大きくなれば塾に通う必要がでてくるでしょう。部活に入れば用具を揃えたり遠征費用がかかります。高校、大学に行けば教育費も大きくなります。

もちろん、おもちゃも買ってあげたいです。たまにはレストランや旅行にも行きたいし、贅沢もしたいです。こどもが増えればこのうちのいくらかは我慢が必要になるでしょう。

僕自身は、4人兄弟だったので親はかなり苦労したようです。3男の僕はいつも兄たちのお下がりを着ていました。週末にどこか遊びに出かけるということはなく、隔週で図書館に行くだけです。外食するのはお盆とお正月の年に2回、祖父母の家に行くときだけでした。

そこまで我慢が必要となるならば、こどもを沢山産まない方が良いかな、というのが本音です。親が同じ考えなら末っ子ぼ僕はこの世に生まれていないんですけどね。

思ったよりも手間がかかる

子育てはめちゃくちゃ大変です。

出産は事故にあって大手術をした後と同じなので、妻はしばらく動けません。そこで、僕の母親に助けて貰うことになりましたが、我が家は埼玉県、実家は名古屋なので気軽に行き来はできません。

また、その時は1LDKのアパートに住んでいたので、4人で暮らすには手狭でした。母の事情もあり1ヶ月だけという期限付きではありましたが、プライベートの確保も難しい環境で姑と生活することになり妻もかなりの心労があったと思います。

生まれたばかりの赤ちゃんは3時間おきにミルクを飲みます。夜中や早朝もあげる必要があったので、21時と3時、12時と6時の当番をわけてなんとか睡眠時間を確保していました。母親が手伝いに来ているとはいえ、高齢なので無理はできません。

寝る前は腹持ちの良い粉ミルクにし、母乳は余裕のある日中にあげるなど工夫をして乗り切りました。粉ミルクは父親でもあげられるのが良いですね。

実家では犬を飼っていましたが人間の赤ちゃんは全然違いました。犬は成長が早くすぐ歩けるようになりますし、2ヶ月もすれば自分で餌を食べ、トイレも覚えます。飼い主に従順ですし忍耐強いです。夜中に泣き叫んだりしません。

人間は歩けるようになるまで1年はかかりますから、非常に手間がかかります。

言葉が出てくるのが2歳頃だったのですが、文章になるまでに時間がかかり、しっかり話せるようになったのは3歳後半くらいでした。意思疎通が十分にできるようになるまではさらに1年くらいかかります。

5歳になった今でも、会話はできるものの論理思考はできません。箱よりも明らかに大きなおもちゃを入れようとして失敗し、怒ってしまうなんてことがよくあります。お祖父ちゃんは、パパのお父さんなんだよ、といった内容もピンと来ていないようです。

赤ちゃんは4歳くらいまではかなり動物的で、おそらく犬の方が賢いと思います。

仕事をしながら、子育てもする生活はかなりしんどいです。その間に余裕ができるような期間はまったくありませんでしたから、夫婦共々もうひとり産もうという気にはなりませんでした。

僕の母親は難病のため、指定病院でしか薬が貰えないということもあり、長期間の手伝いを頼めません。妻の母親は他界しているので、他に助けて貰う宛もありません。

昔は二世帯家庭や、実家の近くで世帯を持つことが多かったので、祖父母のサポートがあり今よりも子育てはしやすかったのかもしれません。

しかし、僕の場合はwebデザイナーという職種柄、地元にほとんど仕事がなく給料も安かったので、少しでも良い条件の職場を求めて上京しました。もちろんその頃には子育てどころか結婚すら頭に無かったので、将来親の助けが欲しくなるなんてまったく想像していませんでした。

上の子の面倒をみながら、もうひとりを産んで育てるのは相当の覚悟が必要です。

こどもを産む動機が無い

こどもを一人は欲しいと思っていました。

子育てがどんなものかも知りませんでしたし、まったく経験しないまま一生を終えるのは勿体ないかな、くらいの軽い気持ちでした。

ですから、ひとりを育てて満足しています。

正直に言うと、子育てはそんなに楽しくありません。苦労9に対して、幸せ1くらいです。

こどもが幼稚園に行っている間と、夜に寝かしつけが終わった後が一番楽しい時間です。仕事のある平日よりも休日にこどもと遊んだり世話する方が大変かもしれないです。

もちろんこどもの事は大好きですよ。でも、もうひとりこどもを産もうとは思いません。

子育ては趣味みたいなものだと思います。お金と労力をかけても、返ってくるのは満足感だけです。

趣味ですから、ひとりで満足したらそれ以上は作りません。人によっては2人、3人と欲しくなるのかもしれませんが、僕はそうではありませんでした。こどもをまったく欲しいと思わないという人がいるのも理解できます。

戦前の日本では、こどもは労働力であり、老後の面倒を見てくれる存在でした。でも、現代では親に仕送りするこどもは少ないですし、養育費の方が圧倒的に大きいです。また、社会保障の充実した現代社会ではこどもがいなくても問題ありません。

こども一人の養育費は2000万円とも、3000万円とも言われていますから、こどもを産まずに自分の貯金や老後資金に回した方が経済的には豊かに暮らせます。

僕は高校留学をした経験があります。親に留学費用を聞いたところ、年間300万円もしたと知って驚きました。僕は我が子に同じことをしてあげられる自信はありません。

こどもを沢山産んでも、自分が理想とする家族が築けるとはかぎりません。

僕の長兄は結婚後に、他の女性と不倫したあげく妊娠させてしまいました。こどもがいなかった事もあり、前妻とは離婚して不倫相手と再婚することになりました。犯罪とまでは言いませんが、自分のこどもがこんな事をしてしまったらショックを受けると思います。

母は強い信条を持っており、このことがきっかけで長兄と顔を合わせなくなりました。孫にも会っていないそうです。

また僕自身は4兄弟ですが、それぞれが実家から離れた所に住むようになり、家族が皆で集まる機会もありません。子供の頃は、お正月やお盆は祖父母の家に親族が一同に集まって食事をしたものですが、今ではそういうこともしていません。両親は直接は何も言いませんが、本心では寂しいと思っているのではないでしょうか。

もし、日本の少子化を改善したいと本気で思うならば、子育てに対してそれ相応のメリットを作る必要があると思います。

子育てを趣味ではなく、仕事とみなすべきです。

やりたい人がいないのですから、対価を払ってこどもを作ってもらうしかありません。

こども一人あたりにかかる養育費が20歳までに2000万円だとすれば、年間100万円を支給してはどうでしょうか。3人こどもを作れば300万円の収入となりますから、子育てが仕事として成り立ちます。

この金額が適当かどうかはわかりません。もしかしたら半分くらいでも良いかもしれません。

親がお金を子育てに使わずに浪費してしまう可能性もあるので、いくらかの割合は年金に上乗せる形にも考えられます。固定額ではなく、インフレ連動制のが良いと思いますし、こどもが増えすぎた場合には減額も必要かもしれません。

また、子育てはお金だけでなく多大な労力が求められます。うちのように、祖父母に手助けを頼めない家庭も少なくないと思います。ベビーシッターを頼もうかと調べたこともありましたが、かなり高額なので気安く利用することは出来ませんでした。

保育園は実質的に働いている人しか利用できず、常に空き待ち状態で0歳から入れないと枠が取れないなど条件が厳しいです。こどもを増やしたいのであれば、保育所の拡大やベビーシッターの回数券を配るなどの支援が必要です。

色々と考えることはあると思いますが、これくらい思い切った政策が無ければ少子化は止まらないでしょう。

もし子育てが仕事だとしたら、今はやりがい搾取の状態だといえます。こどもは可愛いよ、子育てでしか味わえない幸福感がある、と言うだけではこどもを作ろうとは思いません。

こどもが増えれば経済は活性化し、働き口も増えます。税収が上がり、公共サービスは充実し、年金も増えるでしょう。日本政府には、未来への投資として積極的にこどもにお金を使ってほしいものです。

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