ナスダックは下げが止まらず、昨日はさらに3.6%もの大幅な下落になりました。この下げ率は2022年10月以来、約1年9カ月ぶりということです。2022年はそこから40%近い下落局面に入ったのでちょっと嫌な思い出が蘇ります。
株安に加えて、円高も進んでおり、円建てで投資している日本人にとっては辛い形に入ってきました。今年はここまでに大きく上げてきておりますが、含み益がどんどん減っていくのは嫌ですね。
この下げがどれくらい続きそうか、テクニカル分析で探っていこうと思います。
【CME FEDWATCH TOOL】AGGREGATED MEETING PROBABILITIES
アメリカの利下げスケジュールをまず確認していきます。先週は、9月会合で99%以上の利下げが織り込まれていましたが、10ポイントほど下がっています。0.5%利下げの予想が10%上がっているので、先週よりもさらに利下げ期待が高まっているといえます。
9月以降はFOMCの会合毎に0.25%づつ下げられていくと見込まれていますが、アメリカの経済指標も予想よりも下がってきており、場合によっては利下げペースは早まるかもしれません。
しかし、この1週間で米国債の利回りは横ばいですし、市場はかなり先行して織り込んでいるように感じます。ナスダックもこの一週間で大幅に下落してきており、噂で買って事実で売るという展開になっています。
株価の動向はかなり不安定になっており、今後もボラティリティが高まっていきそうです。
5日線、10日線が20日線を下回り、明確にデッドクロスを形成しています。一度$19,500で反発しましたが、10日線に達する前に跳ね返され、さらに下げ幅を広げてしまっています。
50日線もあるので、僕は$19,500がそこそこ強めのサポートラインになると予想していましたが、そこもあっさり抜けてしまいました。昨日は3.6%という指数としてはかなり大きな値動きになったので、損切もかなり入っていたんじゃないかと思います。
ボリンジャーバンドは-3σにもタッチしそうなところまで下落し、このまま-2σを超えられないまま下げてバンドウォークが発生すると長い下落トレンドになってしまいます。
直近の反発ラインとなりそうなポイントは、フィボナッチ50%のある$19,000、100日線のある$18,800です。
ここを抜けると明確なサポートラインが見当たらず、全戻しとなる$17,000を目指して下落していく展開になってしまいます。
日足RSIは20を下回っていますし、週足RSIも60くらいまで落ちてきているので、最近の過熱感はもう十分に抜けてはいます。僕なんかはもうそろそろ買い増ししても良いかなと思えるラインに来ていると見ていますが、皆さんはどう判断されているでしょうか。
今週もナスダック100はほとんどのセクターで続落しています。
テスラが第二四半期(6月まで)の決算をミスって大幅に下落しています。1株当たりの利益が市場予想では$0.60だったのに対して、$0.52と下回ってしまい失望売りとなりました。とはいえテスラ自体は、以前ほどは市場全体への影響は少なくなっているので過度に恐れる必要は無いと思います。
グーグルは市場予想を上回っていましたが、市場全体が調整局面に入っている影響もあってか株価は下落してしまっています。
注目のマイクロソフトは7/30、メタ7/31、アップルとアマゾン8/1となっていますので、このあたりで好決算が続いてくれるのを期待しています。
大本命のエヌビディアの決算発表は8/28なので、そこでもまた株価は大きく動くかもしれません。
VIX指数は18まで上昇してきました。
週足チャートでもボリンジャーバンドの幅が広がりつつあり、今後はボラティリティが高くなっていきそうなことを示しています。
昨年10月や今年4月の調整局面では21~23くらいがピークでしたから、もう少し上値余地はありますが、株価の下落が底打ちするのも近いかなと思います。
ドル円は最高値から9円ほど下がり、反発しても5日線では売りが入り明確に下落トレンドを形成しています。
100日線を割り込んでから下落が加速し、ボリンジャーバンド-2σに沿ったバンドウォークが始まりそうです。ボリバン-2σと5日線、10日線の上に乗せて切り替えしてくると反発が期待できますが、どうなるでしょうか。
もしこのまま落ちていくとサポートラインになりそうなポイントがあまり見当たらず、まずはキリ番となる150円を目指して落ちていきそうです。
この下落の背景には、アメリカの利下げが迫っていることに加えて、日銀のさらなる利上げも噂されているためです。これまで入っていた投機筋が撤退して相場が崩れているようです。
日本は26ヶ月連続で実質賃金がマイナスとなっており、自民党が大きく揺れている今は日銀が積極的に金利を上げていくのは難しいような気がするのですがどうなるのでしょうか。日銀政策決定会合が7/31にありますから、ドル円もそこで大きく動きそうです。
もし利上げ無しとなれば、また円安に戻っていくでしょう。
【CNN】Fear & Greed Index (https://edition.cnn.com/markets/fear-and-greed)
Fear & Greed IndexはFEAR(恐怖)に落ちてきました。
恐怖域には入ってきていますが、まだ下落余地があるのはちょっと嫌な雰囲気ですね。EXTREME FEAR(超恐怖)まで落ちてしまうと、本格的な下落トレンドになってしまうのでこのあたりで耐えてほしいです。
全体的に見ると、これまで急上昇していた過熱感の大部分は抜けており、そろそろ反発してもよさそうな感じがします。一部ではもう少し下げそうな要因もありますので、注意が必要です。
このチャートは、株から安全資産といわれる国債に資金が流れていることを示しています。
株価が多きく下落した昨年の10月や、今年の4月もこの数値が下がっております。すでに恐怖領域には入っていますが、以前は-2%くらいまで下がっていましたから、下値余地はまだありそうです。
このチャートは株価下落に備えたヘッジをしている人がどれだけいるかを表しています。
put/call ratioは徐々に上がってきていますが、まだNEUTRAL(中立)です。
大幅な下落があった昨年10月や今年4月は1.00まで急騰していましたが、今はまだ0.75あたりとヘッジが十分にされていない状態です。
今夜のGDP速報、明日のPCEデフレーターは重要な経済指標です。特に個人支出を測るPCEデフレーターは前年同月比で2.5%予想となっており、もうかなりインフレは収まってきている数値となっています。
来週発表される製造業景況感指数は予想は50を下回っており、企業は景気が悪くなると見込んでいるようです。景気後退となってしまうと利下げ効果を打ち消して株安になってしまうので、注意が必要です。
来週はアメリカ大型株の決算発表が続きますし、また月が変わり雇用統計も発表されるので注目です。
- 7/31(水) 日銀金融政策決定会合、終了後政策金利発表
- 7/31(水)15:30 植田和男日銀総裁、定例記者会見
- 7/31(水)21:15 7月ADP雇用統計(前月比)
- 8/1(木)23:00 7月ISM製造業景況指数
- 8/2(金)21:30 7月非農業部門雇用者数変化(前月比)
- 8/2(金)21:30 7月失業率
- 8/2(金)21:30 7月平均時給(前月比)
【GMO外貨】経済指標カレンダー(https://www.gaikaex.com/gaikaex/mark/calendar)
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